最後の贈り物

 野枝さんは殺される少し以前に、アルスから出た大杉君と共訳のファーブルの自然科学をまこと君に送ってくれた。それが野枝さんのまこと君に対する最後の贈り物で、形見になったわけだ。 僕はこの数年、つまり野枝さんとわかれてから、まったく、わかれてからというよりは解放されてからといった方が適切かも知れない―...

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僕の生活はまことに浮遊で

 僕の生活はまことに浮遊で、自分では生まれてからまだなに一つ社会のためにも人類のためにも尽したことがない位にバイ菌でもあるが、僕の存在理由はだがそれらの傑作を供給したことによってもいささか意義がありそうでもある。また三面種を供給して世人をしばしの退屈から脱却せしめる点においてもあまり無意味でもなさそ...

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同棲数年の間

 同棲数年の間、僕はただ一度外泊した事があるばかりであった、まるでいま思うと嘘のような話である。別れるまで殆どケンカ口論のようなことをやったこともなかった。がしかし、ただ一度、酒の瓶を彼女の額に投げつけたことがあった。更に僕は別れる一週間程前に僕を明白に欺いた事実を知って、彼女を足蹴りにして擲った。...

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